「長崎には何もない」と思っていた私がこの街を好きになった理由

まりん
Contents
  1. 移住は人生を変える、だからこそ、覚悟が必要でした
  2. 支援金がなくても、移住はできる。でも、お金は必要です
  3. 「長崎には何もない」と本気で思った日々
  4. 移住で本当に大切なのは人とのつながりでした
  5. 長崎暮らしは「不便」を受け入れられるかどうか
  6. お試し移住を必ずおすすめします
  7. 移住に成功する人の共通点
  8. それでも長崎へ移住してよかった

移住は人生を変える、だからこそ、覚悟が必要でした

「移住は人生を変える」

そんな言葉を、よく見かけます。

SNSを開けば、美しい海の写真や、古民家での暮らし、のんびりとした田舎の日常が次々と流れてきます。窓辺で本を読む写真、縁側でお茶を飲む写真、海に沈む夕日の写真、どれもとても素敵で、見ているうちに「私もこんな暮らしができたら」と思ってしまう、その気持ちはとてもよくわかります。

私自身、移住を考え始めたきっかけは、病気と向き合いながら生きるためではあったのですが、こんなところに移住したいと美しさに心惹かれる、まさにそういう写真にたくさん出会いました。スマートフォンの画面をスクロールしながら、「こんな景色の中で、ゆっくり暮らせたらどんなにいいだろう」と、何度も思いました。

でも実際に移住を決めて、準備を進めていく中で、少しずつわかってきたことがあります。

移住は、そんなに簡単なものではない、ということです。

旅行であれば、もし「思っていたのと違うな」と感じても、数日で帰ることができます。あるいは「ここはちょっと合わなかったな」と思っても、笑い話として終わらせることができます。

でも移住は、そうではありません。

住む場所が変わるだけではないのです。

人間関係が、まったく新しく始まります。仕事も、これまでとは違うものを探さなければなりません。生活習慣も、知らないうちに変わっていきます。地域の習わし、季節の感じ方、人との距離感など気づかないうちに、自分の価値観そのものが変わっていくこともあります。

そして何より、一度移住すると、簡単にはやり直せません。

引っ越しには、まとまったお金がかかります。新しい土地で仕事を見つけるのにも、時間がかかります。お子さんがいらっしゃるご家庭であれば、学校のことも考えなければなりません。「やっぱり前の場所に戻ろう」と思っても、その分また費用も時間もかかってしまうのです。

私はこのことを、移住を検討する中で何人かの方から伺いました。

ある方は、こうおっしゃっていました。

「移住相談会で、何人もの方とお話ししてきましたが、『楽しそうだから』だけで決めた方の中には、数年で戻ってしまう方も少なくありません。準備期間が長い方ほど、長く続けられている印象があります」

その言葉を聞いたとき、私は自分の中の「なんとなく憧れている気持ち」を、一度きちんと整理しなければいけないと思いました。

何度も、長崎へ通いました

そこで私は、移住を決める前に、何度も長崎へ足を運ぶことにしました。

一度だけではありません。季節を変えて、何度も訪れました。

最初に訪れたのは、初夏でした。風が心地よく、海も街もとても美しく見えました。「ここで暮らせたら」と、心からそう思いました。

二度目に訪れたのは、夏の終わりでした。長崎の坂道を歩きながら、汗が止まらなくなりました。観光客として歩いていたときには気づかなかった、坂道の本当の大変さを、このとき初めて実感しました。

三度目は、冬でした。海からの風が予想以上に冷たく、コートの中まで入り込んでくるような寒さでした。「温暖な気候」というイメージとは少し違う、長崎の冬の顔を見ることができました。

このように何度も訪れることで、観光客として見る長崎と、生活者として見る長崎が、少しずつ違うものに見えてくるようになりました。

観光客としてではなく、生活者として歩いた日々

訪れるたびに、私は意識的に「観光」をしないようにしていました。

有名な観光地に行くのではなく、住宅街を歩きました。坂道を、上から下まで、実際に歩いてみました。途中で何度も足を止めながら、「ここに毎日住むとしたら、どう感じるだろう」と考えていました。

スーパーにも足を運びました。品物の値段、品揃え、お店の雰囲気。普段の買い物をするとしたら、ここで何を買うだろうかと、カゴを持たずにゆっくり店内を見て歩きました。

病院についても調べました。これは私にとって、移住の動機そのものに関わる、とても大切なことでした。通院することになる病院までの距離、バスの本数、診察の予約の取りやすさ。実際に建物まで足を運んで、雰囲気を確認しました。

ある日、坂道を歩きながら、地元の方とすれ違いました。重そうな買い物袋を持って、ゆっくりと坂を上っていく後ろ姿を見て、ふと「自分も将来、こうして坂を上る日が来るのだろうか」と考えました。

その瞬間、移住というものが、写真の中の美しい景色だけの話ではなく、自分の毎日の延長線上にあるものなのだと、はっきりと感じました。

昼も夜も、晴れの日も雨の日も

平日の昼間にも訪れました。観光客でにぎわう週末とはまったく違う、静かな街の表情を見ることができました。

夜にも歩きました。街灯の少ない坂道を歩くと、思っていたより暗いと感じる場所もありました。同時に、夜空に星がよく見えることにも気づきました。

雨の日にも、意図的に出かけました。

長崎は坂道に雨が降ると、足元が滑りやすくなることは知っていましたが、実際に体験してみると、想像以上でした。傘を持ちながら坂道を歩くのは、思った以上に大変でした。荷物を持っているときは、なおさらです。

でもその雨の日に、ある光景を見ました。

坂道の途中で、年配の女性が、近所の方に「大丈夫?滑らないように気をつけてね」と声をかけられていたのです。なんでもないやり取りでしたが、その何気ない一言に、地域の人と人とのつながりの温かさを感じました。

便利さだけを基準にしていたら、見えなかった光景だったと思います。

それでも、不安はありました

ここまで何度も足を運び、いろいろなことを確認してきました。それでも、最終的に決断するときになっても、不安が完全に消えることはありませんでした。

体調のこと。お金のこと。新しい土地での人間関係のこと。仕事が見つかるかどうかということ。坂道を、これからどのくらいの期間、自分の足で上り続けられるだろうかということ。

どれだけ調べても、どれだけ歩いても、未来のことを完全に予測することはできません。

でも、何度も通って、自分の目で見て、自分の足で歩いた結果として残った「ここで暮らしてみたい」という気持ちは、最初の「移住したい」気持ちとは、明らかに違う重みを持っていました。

調べても消えない不安と調べたからこそ確認できた「ここなら」という思い。その両方を抱え、私は決断しました。

移住は、人生を変えます。

だからこそ、その変化を受け止める準備が、自分の中にできているかどうか。それを一つひとつ確かめていく時間こそが、移住を決めるまでの一番大切な過程だったのだと、今は思っています。

支援金がなくても、移住はできる。でも、お金は必要です

移住の話をすると、必ず出てくるのが「支援金」の話題です。

「移住したら補助金をもらえるんでしょう?」「いくらくらいもらえるの?」
移住を考えていることを周りに伝えると、よくこんなふうに聞かれました。

確かに、長崎県や各自治体には、移住者向けのさまざまな支援制度があります。条件によっては、引っ越し費用の一部を補助してもらえたり、住宅費の支援を受けられたりする制度もあるようです。

ただ、私自身は、こうした支援金を受け取っていません。

そう言うと、「もらえるものは、もらった方がよかったのでは?」と言われることもあります。でも、私には条件が合わなかったというだけのことで、それ自体は私にとって特に問題ではありませんでした。

ただ、ここでお伝えしたいのは、少し違うことです。

「支援金」と「資金」は、まったく別の話

移住の準備をしていく中で、私がはっきりと感じたことがあります。

それは、移住に必要なのは、支援金ではなく資金だということです。

似ているようで、これはまったく別の話です。

支援金は、もらえれば助けになります。でも、もらえなくても移住自体は可能です。一方で、資金、つまり自分自身で用意しておくべきお金がなければ、移住は成り立ちません。

私が移住の準備を始めた頃、ノートに「必要になりそうなお金」を書き出してみました。

引っ越し代。新しい住まいの賃貸契約にかかる費用-敷金、礼金、仲介手数料など。これまで使っていた家具や家電を持っていけない場合の買い替え費用。そして、移住してすぐに仕事が決まるとは限らないことを考えると、生活費として数か月分の余裕。

書き出してみると、思っていたよりたくさんになりました。

そして実際に移住の手続きを進めていくと、このリストには載っていなかった出費が、次々と出てきました。

カーテンのサイズが前の家と違って、新しく購入が必要になったこと。インターネットの開通工事に思ったより費用がかかったこと。冬の寒さに備えて、こちらの気候に合った暖房器具が必要だったこと。

ひとつひとつは、大きな額ではありません。でも、こうした小さな出費が積み重なっていくのを実感しました。

「地方だからお金がかからない」は誤解でした

移住前、私は「地方なら生活費が安くなるはず」と、なんとなく思っていました。

確かに、家賃は都市部に比べて安くなりました。

でもその一方で、新しくかかるようになったお金もあります。

都市部に住んでいたときは、電車やバス、徒歩でほとんどの用事を済ませることができました。でも長崎での暮らしでは、場所によっては車が前提になります。坂道の多い地域では、特にそうです。

車を持つということは、購入費だけでなく、ガソリン代、保険料、車検代といった維持費もかかってきます。これまで一度も計算したことのなかった項目が、毎月の支出に新しく加わることになります。

私は車を持つことは避けたかったので、公共交通機関が使える範囲で住むところを探し、必要であればタクシーを使うことにしました。

「家賃が安くなったから、生活費全体も安くなる」というのは、私にとっては当てはまりませんでした。安くなったところと、車こそ持たなかったものの、新たにかかるようになったところを差し引きすると、思っていたほどの差はなかった、というのが正直な実感です。

お金の余裕が心の余裕になる

移住してから半年ほど経った頃、ふと思ったことがあります。

移住後に感じる不安には、いくつか種類がありました。新しい土地での人間関係への不安、仕事が見つかるかどうかという不安、坂道のある暮らしに体がついていけるかという不安。

その中で、お金に関する不安だけは、準備をしていたことで、ほとんど感じずに済みました。

「来月、生活費が足りなくなったらどうしよう」という心配がないだけで、新しい環境での緊張感が、かなり違うものになります。新しい土地では、まだ知り合いも少なく、何かあったときに頼れる人も限られています。そんな中で、お金のことだけでも安心できる状態にしておけることは、思っていた以上に大きな支えになりました。

逆に、もし生活費にぎりぎりの状態で移住していたら、ちょっとした出費にも気持ちが落ち着かなくなって、新しい暮らしを楽しむ余裕も、なくなってしまっていたかもしれません。

移住を考えている方には、支援金の有無を調べることももちろん大切ですが、それ以上に、自分自身でどれくらいの資金を準備できるかを、具体的に考えてみることをおすすめします。

引っ越しにかかるお金。新しい暮らしを整えるためのお金。そして、仕事が安定するまでの間を支えるお金。

これらにどのくらいの余裕を持てるかが、移住後の毎日を、落ち着いた気持ちで過ごせるかどうかに、大きく関わってくると思います。

支援金がなくても、移住はできます。

でも、自分自身で用意した資金の余裕が、移住後の生活を支える、一番確かな土台になるのだと、私は感じています。

「長崎には何もない」と本気で思った日々

移住直後の私は、正直に言うと、長崎がそれほど好きではありませんでした。

もちろん、海はきれいです。坂の上から見える景色も、本当に美しい。それは何度も訪れていたときから、変わらず感じていたことでした。

でも、それだけ。

友達はいません。知り合いもいません。土地勘もありません。どこへ行けばいいのか、何をしたらいいのか、まるでわかりませんでした。

引っ越しの荷物を整理し終えて、ふと部屋を見回したとき、ものすごく静かなのに気づきました。何度も訪れていたはずのこの街が、急によそよそしく感じられました。

退屈でした。

景色は変わらず美しいのに、心はまったく動かない。海を見ても「きれいだな」と思うだけで、それ以上の感情が湧いてこない。あの何度も足を運んだ頃のワクワクした気持ちは、どこに行ってしまったのだろうと思いました。

「退屈」だったのは私だけではなかった

後になって、東京から長崎へ移住された方のお話を伺う機会がありました。地元でお店を営んでいらっしゃる方です。

その方も、移住した当初のことを「退屈で、楽しいものではなかった」と振り返っていました。友人もいない、それまでの仕事も辞めている、誰ともつながりがない中で、戸惑いを感じていたそうです。

その話を聞いたとき、私は少しほっとしました。

「これは自分だけの感覚ではなかったのだ」と思えたことが、その時はとても大きな救いになりました。移住した人なら誰でも経験するもので、自分の心構えが足りなかったわけではない。そう思えたことで、少しだけ気持ちが軽くなりました。

「リセットされる」ということの本当の意味

移住する前、私は「人間関係が変わる」ということをある程度想像していました。

でも、実際に体験してみると、その想像は浅かったなと気づきました。

それまでの人間関係は、移住によって一度、ほぼゼロになります。

職場の同僚も、昼休みに何気ない世間話をする相手も、ちょっとした困りごとを相談できる相手も、近くにいません。長年の友人たちも離れた場所にいます。

これまでの暮らしの中で、当たり前のようにあった「居場所」がすべてなくなりました。

引っ越し前には、こうしたことを「不便さ」として考えていました。でも実際に経験したのは、不便さというより、ある種の「孤独」のようなものでした。

夕方まで誰とも話さずに一日が終わっていく。週末、特に予定もなく過ごす。テレビをつけても、誰かと感想を言い合う相手がいない。
それが積み重なっていくと、思っていた以上に寂しく、辛く思えてきました。

移住の最大の敵は孤独だと思う

私は、移住の準備で一番力を入れたのは、住まいやお金のことでした。

物件を探し、生活費を計算し、病院を調べ、坂道を歩いて確認する。これらはどれも大切なことです。準備しておいてよかったと今でも思っています。

でも、移住してから一番苦しかったのは、こうした準備とは別のところにありました。

それは、孤独でした。

お金の不安は、ある程度予算を準備しておけば、軽減できます。住まいの不安は、何度も足を運んで確認しておけば、ある程度は解消できます。

でも、人とのつながりは、事前に準備しておくことがとても難しいものでした。

知り合いをあらかじめ作っておくことはできません。友達は、その場所で時間をかけてできていくものです。新しい土地で、ゼロから関係を築いていくには、どうしても時間が必要でした。

その「時間がかかる」という事実そのものが、移住直後の私にとっては、一番こたえることでした。

あの頃の自分に伝えたいこと

もし今、移住直後の自分に何か伝えられるとしたら、こう言いたいと思います。

「退屈だと感じているのは、あなたが間違っているわけじゃない」

景色がきれいなのに心が動かない。せっかく移住したのに楽しくない。そう感じてしまうと、「移住を決めた自分の判断が間違っていたのかもしれない」と、つい自分を責めたくなります。

でも、それは判断が間違っていたわけではなく、人とのつながりがまだできていないというだけのことなのだと思います。

景色は変わりません。長崎の海は、移住した日もその後も、同じようにそこにあります。変わったのは、その景色を、誰と、どんな気持ちで見るかということだったのだと、後になって気づきました。

移住の準備として、住まいやお金のことを整えるのと同じくらい、「孤独な時期が、しばらく続くかもしれない」ということを、心構えとして持っておくこと。

それも、移住の準備のひとつなのだと今は思っています。

移住で本当に大切なのは人とのつながりでした

移住後、私が何よりも痛感したのは、人とのつながりの大切さでした。

「地方は都会より人との距離が近い」とよく言われます。実際、長崎での暮らしを始めてから、これは本当だと感じる場面がいくつもありました。

道に迷っていると、声をかけてくれる人がいます。買い物の途中で困っていれば、近くにいた人がさりげなく手を貸してくれます。病院の情報を教えてくれたり、おいしい魚屋さんを教えてくれたり。

最初は、こうした距離感に戸惑いました。

都会で暮らしていた頃は、知らない人と必要以上に関わることはほとんどありませんでした。声をかけられること自体が珍しく、最初は少し身構えてしまったこともあります。

でも、その距離感に救われる日が、やがて来ます。

体調を崩したとき。何かに困ったとき。誰かにちょっと相談したいと思ったとき。そんなときに、頼れる人がいるということは、本当に心強いものでした。

つながりは、移住前から始められる

長崎には、県が公認しているオンラインコミュニティがあります。「長崎友輪家(ゆーりんちー)」という名前で、LINEのオープンチャットを通じて、移住者や移住を考えている人、長崎が好きな人たちが情報交換をしています。

匿名で参加できるので、まだ移住を決める前の段階からでも、気軽に覗いてみることができます。実際に暮らしている人の声を聞けることは、ネットの情報だけではわからない、リアルな感覚を知るきっかけになります。

私自身、移住前にこうしたコミュニティを知っていたら、もう少し違う心構えで移住できたかもしれないと思っています。

ただし、つながりは自分で作るもの

ここで、ひとつ大切なことをお伝えしたいと思います。

コミュニティに入ったからといって、それだけで自動的に友達ができるわけではありません。

オンラインで情報交換ができることは、とても助かります。でも、最終的に「顔の見える関係」を作っていくのは、自分自身の行動です。

待っているだけでは、何も始まりません。

地域のイベントに参加してみる。お祭りに足を運んでみる。何度も同じお店に通って、行きつけの場所を作っていく。そうしているうちに、少しずつ顔を覚えてもらえるようになります。

最初は、ひとりでイベントに参加するのは、少し勇気が要りました。知らない人ばかりの中に、自分だけがよそ者として混じっている気がして。

でも、何度か顔を出すうちに、「あ、また来てくれましたね」と声をかけられるようになりました。その一言だけで、ずいぶん気持ちが軽くなったのを覚えています。

特別なことをする必要はありません。同じ場所に、何度も足を運ぶこと。それだけで、少しずつ関係は変わっていきます。

人とのつながりは、すぐにできるものではありません。

時間がかかります。最初は、ひとりで過ごす時間の方が、ずっと長いかもしれません。

でも、その小さな積み重ねが、やがて「ここに住んでいてよかった」と思える瞬間につながっていくのだと、今は感じています。

長崎暮らしは「不便」を受け入れられるかどうか

長崎市で暮らして、何より驚くのは坂の多さです。

観光で訪れたとき、坂道は美しく見えました。石段の連なりや、坂の途中から見える港の景色は、写真に撮りたくなるような風情があります。

でも、毎日歩くとなると、話は別でした。

買い物帰りの坂。荷物を持ちながら上る坂道は、想像していたよりずっと体力を使います。

真夏の坂。少し歩くだけで汗が止まらなくなり、坂の途中で何度も立ち止まることもあります。

雨の日の坂。足元が滑りやすくなり、傘を差しながら歩くのは、思っていた以上に大変でした。

これらは、観光で訪れただけでは、決してわからないことでした。

だから、移住前には必ず歩いてほしい

もし今、長崎への移住を考えている方がいるなら、私からお伝えしたいことがあります。

候補となる場所は、必ず実際に歩いてみてください。できれば、一度だけでなく、何度も。

昼だけでなく、夜も歩いてみてください。坂道の照明の具合や、夜の静けさは、昼間とはまったく違う印象を与えます。

晴れの日だけでなく、雨の日にも歩いてみてください。雨が降ったときの坂道の歩き具合いは、その土地で暮らしていく上で、想像以上に大きなポイントになります。

買い物帰りを想定して、荷物を持って歩いてみることもおすすめです。スーパーから家までの道のりが、自分の体にとってどれくらいの負担になるのか、実際に体験してみることでしか、わからないことがあります。

景色を見て決めるのではなく、生活を見て決める

住むということは、その風景の中で、毎日を積み重ねていくということです。

坂の上から見る景色がどれほど美しくても、その景色の中で、買い物に行き、ゴミを出し、通院し、季節ごとの天気と付き合いながら暮らしていくのは、自分自身です。

景色だけを見て決めてしまうと、暮らし始めてから「思っていたのと違った」と感じることになりかねません。

大切なのは、景色を見ることではなく、生活を見ることです。

その坂道を、これから何年も上り下りすることになるかもしれない。その想像をしながら、実際に足を運んで、確かめてみてほしいと思います。

不便さを受け入れられるかどうか。それは、住んでみるまでわからないことかもしれません。でも、移住前にできる準備の中で、これは決して軽視してはいけないことだと、私は感じています。

お試し移住を必ずおすすめします

長崎県では、各自治体がお試し住宅や移住体験制度を用意しています。

数日から数週間、実際にその土地で暮らすように過ごせる制度です。観光ではなく、生活者として過ごしてみることができる、とても貴重な機会だと思います。

私は、移住を考えている方には、必ずこうお伝えします。

一度ではなく、何度も来てください。

季節を変えて、何度も訪れる

夏だけ見てはいけません。冬も見てください。

夏に訪れると、海の青さや、街の活気に心が動かされます。でも冬には、海からの風の冷たさや、坂道の凍えるような寒さがあります。一方の季節しか知らないまま決めてしまうと、もう一方の季節になって初めて「こんなはずではなかった」と感じることになります。

平日も見てください。休日も見てください。

休日に訪れる街は、観光客で賑わい、活気に満ちています。でも平日の街は、まったく違う表情を見せます。普段の暮らしは、休日よりも平日の方が、ずっと長いものです。その「普段」の姿を、見ておく必要があります。

観光地ではなく、暮らしの場所を歩く

観光地だけでなく、住宅街も歩いてください。

観光地の美しさは、移住を決める理由のひとつにはなるかもしれません。でも、実際に暮らすのは住宅街です。坂の傾斜、家の並び、街の静かさ、近所の雰囲気。これらは、観光地からは決して見えてきません。

スーパーの価格も見てください。

普段使う食材や日用品が、どのくらいの値段で買えるのか。これは、毎月の生活費に直結する、とても具体的な情報です。

病院も確認してください。

通うことになるかもしれない病院までの距離、診察の予約のしやすさ、診療科目。これらは、暮らし始めてから慌てて調べるのではなく、移住前に確認しておくべき大切なことです。

仕事の情報も調べてください。

求人の数、職種、年齢条件。実際にハローワークへ足を運んで、窓口で相談してみることで、ネットの情報だけではわからないことが見えてきます。

移住は、勢いで決めるものではありません。

生活の積み重ねだからです。

一度の訪問で感じた「素敵だな」という気持ちは、とても大切なものです。でもその気持ちだけで決めてしまうと、暮らし始めてから見えてくる現実とのギャップに、苦しむことになるかもしれません。

何度も訪れて、いろいろな表情のその土地を見ること。そうして積み重ねた経験の上に立つ「ここで暮らしたい」という気持ちこそが、移住後の暮らしを支える、本当の土台になるのだと思います。

移住に成功する人の共通点

これまで移住の現実について、いろいろなことを書いてきました。

ここで、少し視点を変えて、移住に成功している方々を見ていて感じる、共通点についてお話ししたいと思います。

理想だけで動かないこと

「地方に行けば、幸せになれる」「自然があれば、それだけで満足できる」

こうした思いを抱いて移住される方は、少なくありません。そして、その気持ち自体は、決して悪いものではないと思います。

ただ、その理想だけを頼りに動いてしまうと、現実とのギャップに苦しむことになりやすいように思います。

自然の中での暮らしは、確かに心を豊かにしてくれます。でも、虫が出ること、湿気で物が傷みやすいこと、台風や大雨のときの不安なども、自然と共にある暮らしの一部です。

「自然があれば満足できるはず」と思っていた人が、実際の不便さに直面したとき、思っていた以上に大きなショックを受けることがあります。理想と現実の差が大きいほど、そのギャップは苦しいものになります。

反対に長く馴染んでいく人たちは

私が出会った方々の中で、長く地域に馴染んでいる方には、いくつかの共通点があるように感じます。

不便なことを、まず受け入れています。坂道のこと、車が必要なこと、お店が少ないことなどこうした不便さを、最初から「仕方がないこと」として受け止めているように見えます。

地域のことを、知ろうとしています。歴史や行事、地元の言葉、近所の方が大切にしている習わし。これらをただ「珍しいもの」として見るのではなく、自分の暮らしの一部として理解しようとしています。

人と関わろうとしています。最初は、慣れない地域の付き合いに戸惑うこともあります。でも、少しずつ顔を出し、声をかけ、関係を築いていく姿勢を持っています。

そして何より、柔軟であるということです。

「自分のやり方」を持ち込むのではなく、その土地のやり方に、まず合わせてみる。そういう柔らかさを持っている方が多いように感じます。

土地に合わせる努力が、馴染むための土台になる

地方への移住は、その土地に、自分自身が合わせていく努力が必要なのだと思います。

これは、自分を消すということではありません。これまでの自分を大切にしながらも、新しい土地のやり方を、まずは受け止めてみる。そういう姿勢のことです。

その覚悟を持っている人ほど、長く地域に馴染んでいくように見えます。

理想を持つことは、移住を決断する大きな力になります。でも、その理想と同じくらい、「この土地に合わせていく」という柔軟さを持っておくこと。

それが、移住後の暮らしを、長く穏やかなものにしていく、大切な心構えなのだと、私は感じています。

それでも長崎へ移住してよかった

移住は甘くありません。

お金も必要です。

人間関係も一からです。

仕事も考えなければなりません。

不安もあります。

孤独もあります。

それでも私は長崎へ移住してよかったと思っています。

なぜなら、この街には都会では得られなかったものがあるからです。

海を眺めながら帰る夕暮れ。

季節を感じる暮らし。

顔を覚えてくれる人たち。

困った時に手を差し伸べてくれる人たち。

そして、自分のペースで生きられる時間。

移住は人生のやり直しではありません。

人生の選び直しです。

だからこそ慎重に考えてください。

よく調べてください。

何度も足を運んでください。

それでも「ここで暮らしたい」と思う方へ、ここまで長崎への移住について、できるだけ正直に書いてきました。

移住は、甘くありません。

お金は必要です。これまでの人間関係は、一度リセットされ、新しい関係を一から作っていかなければなりません。仕事のことも、自分で動いて探していく必要があります。

不安もあります。孤独もあります。

それでも、私は長崎へ移住してよかったと思っています。

この街で得られたもの

なぜそう思えるのか。

それは、この街には、都会で暮らしていたときには得られなかったものがあるからです。

仕事帰り、坂を上りながら見る夕暮れの海。空の色が変わっていくのを眺めながら歩く時間は、以前の暮らしにはなかったものでした。

季節を感じる暮らし。窓を開けたときの空気の匂いや、坂道の途中で見かける花の様子で、季節が移り変わっていくのを感じます。

顔を覚えてくれる人たち。何度も通うお店で、「今日もお疲れ様」と声をかけてもらえること。それだけで、一日の終わりが温かく、幸せになります。

困ったときに、さりげなく手を差し伸べてくれる人たち。最初は戸惑った人との距離の近さが、いつのまにか、心強さに変わっていました。

そして、自分のペースで生きられる時間。

これらは、移住してすぐに手に入ったものではありません。準備の時間、何度も足を運んだ時間、そして移住後の戸惑いや孤独の時間を経て、少しずつ、自分のものになっていったものです。

移住は人生のやり直しではなく、選び直し

移住は、人生のやり直しではないと私は思っています。

これまでの人生を否定するものでもなく、何かを失敗したからやり直すというものでもありません。

移住は、人生の「選び直し」です。

これからの時間を、どこで、どんな風に過ごしたいか。それを、改めて自分自身で選び直すということです。

だからこそ、慎重に考えてください。

よく調べてください。お金のことも、仕事のことも、住まいのことも。

そして、何度も足を運んでください。季節を変えて、時間を変えて、晴れの日も雨の日も。

それでも、「ここで暮らしたい」と思えたなら。

その気持ちは、きっと本物です。

そのときは、長崎が、あなたを迎えてくれるはずです。

私自身が、そうしてもらったように。

その時はきっと、長崎があなたを迎えてくれるはずです。

ABOUT ME
まりん
まりん
はじめまして、まりんです。 地方都市で一人暮らしをしている60代のシングル女性です。 長年、事務職の仕事を続けてきましたが、契約期間満了を機に退職することになりました。 現在は新しい仕事を探すため、ハローワークへ通いながら再出発の準備をしています。 特別な資格も才能もなく、ごく普通の人生を歩んできました。 職場の人間関係に悩んだこともあり、病気を経験したこともあります。 それでも、何歳からでも人生はやり直せることを信じて、一歩ずつ前に進みたいと思っています。 このブログでは、仕事探しの記録、一人暮らしの日常、老後への備え、ここ(地方都市)での暮らしについて綴っています。 同じように不安や悩みを抱えながら頑張っている方に、「ひとりじゃない」と感じてもらえたら嬉しいです。
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